【連載:営業現場のホントの話】 スタート時から決まっている?!売れるショップと売れないショップ

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「売上が上がってきたらね・・・」の負けパターン

私はショッピングカートの営業マンとして、新規で年間200以上の企業へ訪問しています。カートシステムを使ってもらい、さらに売り上げを上げるためにデザイン制作や機能開発など提案内容は多岐に渡ります。これからショップを開設したいという希望を持っている方々とお会いするのは熱量がありとても楽しい時間となります。

さて、これほどの数の会社を回っていても、契約に至るところもあれば、当然そうでないところもあります。いろいろ要望はあるのにもかかわらず「やっぱり最初はスモールスタートで」、「ノウハウもないし売上が上がってきたらいろいろ考えます」などの理由から、カートシステムだけ使って、テンプレートのまま標準機能でとりあえず始めてみる、といった感じのお客様も多いです。

実はこのようなパターンのショップは、いつまでたっても売上が上がってこない印象があります。お金をなるべくかけたくないという意識が強すぎて、人員は最小限、売れなくてもリスクを最低限で抑えられるという逃げ道もあるからこそか、積極的に企画を考えない、集客に力を入れない、ノウハウを学ぶ姿勢がないということでなかなか売上が立たず、3か月ほどで閉店する、もしくは放置するというケースを目にします。

「成功or失敗」の最初の分かれ目は?

カートシステムにはさまざまな機能がありますから、それらを駆使してSEO対策をしたり、テンプレートをなんとか編集して見栄えを整えたり、ショップ会員を細かく管理したりすれば、ベースの部分は構築できます。標準機能だけでも戦える体勢は取れるわけです。

初めからやるべきことを考えられるショップ担当者と、やれることをやらないショップ担当者の大きな違い。それは「目標を立てているか否か」ということです。実行性のないショップ担当者は、現場の印象から単にノウハウがなくて手立てがないか、無理やり上からやらされているかがほとんど。

ネットショップの成功とはどこにあるかを考えてみると、例えば、本業の片手間でやってるので月10万円売れればOKというショップもあれば、本格的に事業としてやるので月300万円以上は売れなければ成功といえない、というショップもあるかと思います。

月商300万円とかをめざすショップというのは、スタート時に計画を細かく行い、例えばデザインに力を入れ、集客のための予算を立てて人を呼び、リピートしてもらう企画を一生懸命に考え、適切な範囲で積極的に投資してくる傾向にあります。

一方、月商10万円でOKというショップ。なかなか普段は買えないニッチな商品であったり、商品力が高ければ大げさなプロモーションをせずとも、口コミで拡がりいつの間にか月10万円くらいは売れていた、というケースがあります。そうなると、やはりシステム強化やデザインにお金をかける、というのは無駄だと感じてしまうわけです。

本気で売ろうと思わなければ、いずれ失敗する

一事業としてネットショップを始めた場合、こと企業レベルでしたら月10万円の売上では続けていく意味があまりない気がします。ページ更新や受注処理、問合せ対応などで人件費をカバーできるレベルにありません。また、月商10万円をキープしていくには何か施策を打っていかないと持続もできないので、いずれしぼんでいきます。

つまり、本気で売れるショップを目指さないと、継続運営すらできないということなのです。

これだけ世の中にネットショップが乱立し、競合ひしめく中で売り上げを上げ続けていくためには、差別化や集客をしていかなくてはいけないので、ずっとコスト0円では戦えません。目標や企画に応じた必要なお金を、適切なタイミングでかけていかないと生き残っていくことすら難しい状況なのです。

目標を置かずに流れに身を任せながら進めて行くより、目標額を達成するために計画を立てて推し進めるのが合理的だし、実際に結果が残りやすい。結果がおぼつかなくても改善点がわかります。改善点がわかればアクションできます。そしてまた検証です。目標を立てないショップは、結果が正解かどうかがわからないから次のアクションが取れない。売れない理由がわからない、だからすぐ「売れない=退店」の結論に至ります。

こういう理由から、ショップを開設してから売れていくショップ、消えていくショップというのは初回の営業現場の印象でだいたいわかります。せっかく熱をもって始めるのですから、ぜひ皆さまには売れた時の感動を味わって欲しいと思います。

ノウハウ、リテラシーなしのショップがスタート

ある企業のネットショップ。開設のお手伝いをしました。そこは50歳くらいの社長さんが窓口となっていました。ネットショップは初めてだしノウハウはなかったんですが、最初からとても熱心でしっかりと目標を立てておられました。毎日のように私に質問を投げかけてきて、セミナーにもよく参加していました。数か月経ちようやくオープン。初日、たまたま商品が一つ売れたそうです。

この社長さん、売れたことがあまりに嬉しくて、購入者の方を(了承の上)後日直接訪ねたとのこと。どうやって自社のショップをネット上で探せたのか、なんで自社で買ってくれたのかを質問しまくって来たそうです。若干やりすぎな印象はありますが、こういうショップさん、絶対成功しますよね。これからも営業マンとして、この情熱を応援していきたいなと思います。

 

この記事を書いた人

竹本 佳和
竹本 佳和
編集系キャリアからECの世界へ。情報誌ライター、ファッションサイト編集長、音楽アーティストのサイトプロデュース。そして現在は、これら編集経験を活かしたECサイトの提案営業。きめの細かいサポートを心がけ、多くのネットショップの立ち上げと成功サポートに尽くす。