自家通販革命がやってきた
インターネットが手放せない存在となった今、さまざまな商品がネットで手軽に購入できることがあたりまえになりました。
特にオークションやフリマなどの個人間売買は、もはやネットが主流の時代となっていますが、中でもここ数年「自家通販」に革命を起こす熱い波がやってきているのはご存知でしょうか?
ハンドメイド作品などの個人間取引は世界的にも大きな市場として注目を集めており、世界最大のハンドメイド作品オンラインマーケット「Etsy(エッツィ)」の売上高は、2012年の7400万ドルから、2013年には1億2500万ドル、2014年には約2億ドルに迫るまでに急成長しています。
▼Etsyが正式に上場申請、1億ドルの資金調達を目指す
http://jp.techcrunch.com/2015/03/05/20150304etsy-officially-files-to-go-public/
また、国内でのCtoC(個人間取引)の中心となっているスマートフォンのフリマアプリの市場規模は年間1兆円(出典:日経MJ)ともいわれています。
ハンドメイド作品や同人作品の販売を考えているクリエイターのみなさん、このビッグウェーブに乗って、あなたの自家通販に革命を起こしましょう!
自家通販って何?
冒頭に「自家通販」というキーワードを使っていますが、あまり耳慣れない言葉かもしれませんので念のため解説を。
「自家通販」とは、主に同人活動※界隈で使われてきた用語で、一般的な「通販」という言葉と以下のような基準で区別されます。
(※同人活動:同じ趣味や志を持つ者同士が集まって文学や美術作品を創作・発表する活動。現在では主にアニメ・漫画の二次創作が中心)
・製作者が業者に委託して作品の通信販売を行う=「(委託)通販」
・製作者が自らの作品を購入者に直接郵送するなどして販売する=「自家通販」
「別にどっちも『通販』で良いんじゃ?」と思うかもしれませんが、作品の売買を行う際は売り手・買い手共にきちんと「自家通販」を区別して利用する理由があります。
主なポイントは以下の3つです。
1.個人間取引となることによるリスク
・個人情報などの取り扱いの不安(売り手・買い手ともに)
・メールやSNSでの直接連絡の手間とトラブル
2.扱える決済手段が限られる
・基本は銀行や郵便口座への振込み
・かつては定額小為替の郵送なども
3.入金確認や発送を個人で行うため、対応が遅い場合がある
・基本は休日の作業
・注文が多くなれば作業が追いつかないことも
これだけ見ると自家通販には何のメリットもないように見えます。
しかし、業者への委託となるとある程度の納入数の確保や売上げ規模が必要だったり、販売手数料が商品価格の数十パーセントと割高ということもあり、一定以上の規模での活動をしていないと敷居が高いものになっています。
このため、多少のリスクやデメリットを許容した上で、少量のオリジナル商品を不特定多数の消費者に販売するための手段として、ある種の妥協のもとで行われてきたのが「自家通販」でした。
自家通販こそEC向け
実際の自家通販が現在どのように行われているかというと、個人のサイトに設置したフォームやSNSでのメッセージでの受付が中心となってます。
個人での運用となるため、本格的なシステムを導入するコストへの投資ができないことが一番の要因であり、前述のデメリットはほぼこれに起因していると考えられます。
しかし、いまは個人でも手軽に利用できるさまざまなECサービスが出揃っています。
これらを活用することで、ほとんどのデメリットは解決できるのです。
・システムを利用することでの安心感
・サービスによってはカード決済なども手軽に利用できる
・注文や入金、配送の管理の自動化で運用が楽になる
そして、自家通販ならではのメリットを最大限に生かすことができるようになったのです。
・商品のプロモーションから販売までを一貫してコントロールできる!
・在庫量や商品点数に制限されず自由に販売ができる!
・販売手数料が安い、または無料にできる!
ECシステムのメリットは、購入者が好きな時に好きなだけ買い物ができる点にありますが、販売者にも時間と場所を選ばずに少品種・少量の商品を最小限の労力で販売できるという大きなメリットがあります。
これはまさに、自家通販の運用ニーズにぴったりハマっているのではないでしょうか。
便利なのはわかってる、けど
さて、いざ自家通販にECシステムを導入しようと考えみても
・利用コストが高そう!
・どのサービスを選んだらよいのかわからない!
・運用が難しそう!
といった壁が立ちはだかります。
私自身、趣味で創作活動を行っている上で自分の作品をネットで販売したい、と考えたこともありますが、まさにこの理由でシステムの利用を断念して、SNSでの販売告知とメールでのやりとりという面倒くさい手段で妥協した経験があります。
「システムを使ってみたいけど調べること多すぎ!そんな時間あったら作品作りに使う!」
本記事ではそんなクリエイターたちの自家通販に革命を起こすために、さまざまなECシステム・サービスを「自家通販で便利に使うには?」という点に焦点を置いて紹介・分析していきたいと思います。
「自家通販」に活用できるさまざまなサービスがある
まずは自家通販に利用できそうな国内ECサービスをタイプ別にさらっとご紹介したいと思います。
マーケットプレイスタイプ
この種類のサービスの特徴は、商品をサイトに登録すると自動的にカテゴリー別のページに陳列され、決済・入金確認までをシステム側が代行しておこなってくれる点です。これまでの自家通販と業者委託のいいとこ取りのサービスともいえます。
「minne(ミンネ)」 URL:https://minne.com/
ハンドメイドマーケット 手作り作品の通販サイト。GMOペパボ株式会社運営によるハンドメイド作品専門のマーケットプレイス型サービス。
「Creema(クリ―マ)」 URL:http://www.creema.jp/
ハンドメイド・手作り・クラフト作品の通販、販売サイト。株式会社クリーマ運営。ミンネ同様ハンドメイド作品を取り扱う人気サイトです。
「BOOTH(ブース)」 URL:https://booth.pm/ja
創作活動がより楽しくなるショップ作成サービス。ピクシブ株式会社運営。「書籍・同人誌・グッズ・手作りのアイテムといった物販商品やイラスト・ゲーム・音楽・写真・動画・電子書籍などのデジタルコンテンツを販売することができます」と、対応ジャンルは幅広いものとなっています。
ジャンル特化ASPタイプ
「自家通販」という用途に完全に特化して開発されたサービスで、マーケットプレイス型サービスがハンドクラフト作品に重点を置いているの対して、同人作品の取り扱いを想定したものとなっています。
「チャレマ」 URL:http://www.chalema.com/
同人誌通販サイト。個人運営。完全無料で同人作品の通販サイトの運営ができる。トップページには作品ごとのインデックスもあって、モール的な役割も果たしています。
「ピコ通販 」 URL:http://pico2.jp/
同人サークルのための通販サイト作成サービス。株式会社シーフォーラム運営。初期費用や販売手数料は無料ですが、ショップの公開には日数に応じて有料のチケットが必要になります。
汎用ASPタイプ(無料)
個人でも手軽に利用できる無料の汎用ASPサービスです。一部機能は有料となる場合もありますが、一般的な機能に不足はなく、実用性は非常に高いものとなっています。
「STORES.jp(ストアーズ)」 URL:https://stores.jp/
オシャレなネットショップを最短2分で無料作成。株式会社ブラケット運営。『最短2分で、驚くほど簡単に、オンラインストアが作れる』がコンセプト。
「BASE(ベイス)」 URL:https://thebase.in/
ネットショップを無料で簡単に作成。BASE株式会社運営。日々さまざまな機能が追加されるBASE Appsが魅力です。
汎用ASPタイプ(有料)
法人でも利用されている汎用的なECプラットフォームのASPサービスです。
このクラスですと自由度は高く高機能ですが、その分導入へのハードルはやや高めになります。とはいえ、売上げ規模やきちんとしたコスト計算によっては個人でも有効な活用が可能です。
「MakeShop(メイクショップ)」 URL:http://www.makeshop.jp/
GMOメイクショップ株式会社運営。ネットショップASP業界で年間総流通額No.1の実績を持っています。
「ショップサーブ」 URL:http://sps.estore.jp/
株式会社Eストアー運営。独自ドメインのEC構築サイトとしての歴史は長く、国内でもトップクラスの実績を誇ります。
「カラーミーショップ」 URL:http://shop-pro.jp/
minneと同じくGMOペパボ株式会社運営。比較的低価格での運用ができるのが魅力です。
まとめ
ざっと紹介しただけでも、自家通販に利用できそうなサービスはこんなにあります。
しかし、それぞれのタイプ別に特徴があるため、利用目的や販売規模がはっきりしていればサービスの選択は難しくありません。
次回以降、実際に各サービスを利用してみて、使い勝手や便利な利用方法の検証に加えて、
・ペンネームで活動しているのでなるべく本名を明かしたくない!
・なんか怖いので個人の口座を入金先にしたくない!
・平日は仕事があるので配送作業できないんだけど…!
などなど、自家通販ならではの不安や悩みを解決する方法まで細かくレポートしてみたいと思います。
この記事を書いた人

- 元SEという名のなんでも屋。現在は某ECサービスの企画設計を行うかたわら趣味の音楽制作をやったりやらなかったりする経験を生かして記事を書いてみたりします。
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